東京高等裁判所 昭和30年(う)1183号 判決
被告人 呉正泰
〔抄 録〕
A弁護人の控訴趣意第一点について。
よつて按ずるに外国人登録法は本邦に在留する外国人の登録を実施することによつて外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もつて在留外国人の公正な管理に資することを目的とするものであり、この目的を達成するため本邦に在留する同法第二条にいうところの外国人は何人と雖も同法所定の登録証明書交付の申請をなさなければならず、また外国人登録証明書の交付を受けた者でも同法第十一条に従いその証明書の有効期間満了前三十日以内に新たに登録証明書の交付を申請しなければならない行政法上の義務のあることは勿論であつて仮令本件におけるが如く保釈中逃亡した者であるからといつてその義務を履行すべき責任は免れることはできない。けだし外国人登録法は前叙の如く在留外国人の公正な管理に資することを目的とする行政的取締法規であり、被告人において保釈決定書により指定された制限住居をほしいままにはなれてその所在をくらます如きは固より法律上許されない行為であり、自ら求めて違法の状態に身を投じながら外国人登録法の要求する外国人登録証明書の交付を申請することは何人にも期待できないことであると主張するが如きはむしろ期待可能性論の濫用であつて到底採用することはできない。それゆえ論旨は理由がない。